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February 24, 2005

チャンピオンズ・リーグ決勝トーナメント
レアル・マドリー対ユヴェントス 1-0
バイエルン・ミュンヘン対アーセナル 3-1

[ sports , sports ]

ルシェンブルゴ監督就任以来レアルの調子はうなぎ登りだ。何と言っても、グラヴェセンをとり中盤をダイアモンドにしたことの勝利だろう。ラウル、ロナウドの下に、ジダン、フィーゴというふたりの「自由人」、そして右サイトのベッカム、底にグラヴェセン。このゲームでミッチェル・サルガドは負傷したが、彼がいなくてもロベカルもどんどん上がる。
グラヴェセンを見ていると往時のフランス代表キャプテンのデシャンと重なって見える。もちろんジダン左、フィーゴ右で、ボランチを二人並べてもいいけれども、ベッカムの「得意技」──右からのクロス──が活き、ふたりの「自由人」たちに「束縛」を与えないこのフォーメーションはレアル向きだろう。ベッカムの「得意技」が炸裂し、イヴァン・エルゲラのヘッドがブフォンの頭を越えた。入った点数はこれだけだが、レアルの圧倒的な優勢は隠すことができない。
それにしてもユーヴェの出来が悪い。ネドヴェドが退場したばかりではないだろう。中盤は誰が見ても完全にレアルに支配されていたし、アレックスは「寄る年波」が隠せない。ブフォンが頑張れなければ、4-0のゲームだ。ユーヴェで良かったのは、エメルソンひとり。ファビオ・カペッロは2週間後のホームゲームのことで頭を悩ませているだろう。トレゼゲが間に合うと言っても、彼にパスの出所が見あたらない。

雪のミュンヘンでのゲームは点差の上でバイエルンがアーセナルを圧倒したように見える。1点目は、トゥーレのクリアミス、2点目は後半開始早々のまだ落ち着かない時間帯、そして3点目は……。アーセナルというチームは、何度書いたか分からないが、「ここ一番」に弱い。根性で戦えない。耐える時間帯に耐えられない。今売っているナンバー誌のサイモン・クーパーの文章がその原因の一端を言い当てている。曰く「このチームは相手チームに関心がない」。ナルシズムの権化のようなディスクールだが、「自分のフットボールをすれば敗れない」という信念の裏返しだ。確かにヴェンゲルの標榜するモダンフットボールが実現されるとき、このチームは本当に美しいフットボールをし、圧勝する。1-0での粘り勝ちや徹底したディフェンスの中での0-0というゲームは見たことがない。スカウティングをし、相手の弱点をつき、長所を消すフットボールはできないし、興味がないのだ。このゲームでの3失点もキャンベルが戻り、もう少し能力の高いキーパーを使えば、せいぜい1失点に止められたかもしれない。ゲームの後のヴェンゲルの言葉を読むと反省はしないようだ。それよりも、自分たちのチームのレヴェルをあげることを常に選んでいるようだ。それにこのゲームでもポゼッションという面では、それほど悲観することはない。前半の中頃からボールは回るようになった。幸運にもアウェイゴールをひとつあげた。アーセナルとはこんなチームなのだろう。ハイバリーでの逆襲をファンは期待している。

梅本洋一