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February 27, 2020

「魚座どうし」山中瑶子
結城秀勇

[ cinema ]

 魚座の「う」の字も出てこないが、とりあえず魚たちは死んでゆく。してみれば、魚座とは死せる魚たちの星を背負って生まれた子供たちの謂なのか、しかしその魚たちを殺すのもまた子供たち自身なのだ。弱い者はさらに弱い者を殺す。彼らは無垢ではない。ただ、魚を水から掬い上げるように、口に爆竹を詰めるように殺す大人たちから殺されないために必死なだけだ。
 まともな大人たちなんて誰ひとりいない。大人たちは、縄跳びを跳べないただひとりの子供を吊し上げるようにいじめ、自らの信じるものを信じることすらままならず、いつまでもしていると思った仕事をぷつりと止め、皿を庭に投げる。大人たちは、掃除するルンバとともにきぬさやのスジを取る行為も、ポーロという名の犬の歌も、夕陽を背負って川べりに立つ姿も、なによりバートルビー並の不服従の意志だけを備えた子供たちの顔つきも、見も聞きもしない。しかしそれらを見聞きする以上の映画の価値などあるのだろうか?
 そこに救いはあるか?否、微塵もない。ただ子供たちは、まるで生命を奪うかのような致命的なタイミングで、死んだ魚の星の下にある生を突き進めと同じ境遇にある者の背中を押すだけだ。


『ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2019』 角川シネマ有楽町にて2/27まで

  • 『あみこ』山中瑶子インタヴュー

  • 『あみこ』山中瑶子 結城秀勇