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June 11, 2020

『アトランティックス』マティ・ディオップ

[ cinema ]

 『アトランティックス』をいかにして語ればよいのか。冒頭のダカールの工事現場で働く男たちのシーンから一人の女が鏡に映る自分自身を見つめるラストショットに至るまで、この映画にはいくつかの筋立てやジャンルが混在している。例えば、山藤彩香が書いているようにメロドラマ的な要素を中心に語ることもできるだろうし、あるいはファンタジーとして、あるいは 刑事モノとしての要素を見つけることもできる。そういった複数の...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:17 PM

『アトランティックス』マティ・ディオップ

[ cinema ]

 「結ばれるべき青年と少女がいて、しかし少女には望まぬ婚約者がおり......」というあらすじから、「ああ、少女の心が青年と婚約者のあいだで揺れるのだろうな」と類推しにかかった自分の浅はかさを恥じた。少女エイダの心は青年と婚約者のあいだとで揺れてなどおらず、想いはずっと青年に注がれていた。では、なにがどのあいだで揺れていたのかといえば、青年と少女が初夜をめぐって此岸と彼岸を揺れていたのだ。  家の...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:12 PM

June 10, 2020

『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』ボー・バーナム

[ cinema ]

 主人公のケイラがYouTubeに公開している自己啓発的な動画で始まる『エイス・グレード』は開始1秒でSNS時代を生きる若者たちへ向けて作られた映画であることを宣言してくれる。中学卒業と高校進学を目前に控えた主人公のケイラは、コンスタントに動画投稿をしているが、それを見ている人はほとんどいない。学校で年間無口賞を獲ってしまうような、友達のいない中学生だった。唯一の家族である父親との関係もうまくいっ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:07 PM

June 2, 2020

『映画よ、さようなら』フェデリコ・ベイロー

[ cinema ]

 勤めはじめてからの25年間、ホルヘの居場所はずっと両親の代から続く映画館(シネマテーク)だった。年々映画館に足を運ぶ人は減り、賃料の支払いは半年以上遅れ、ついには財団から「シネマテークは営利事業とは言えない」と支援は打ち切られ、ついに映画館を閉めることになる(これはまさにいま、日本のミニシアターが置かれている状況ではないか)。閉館日、看板の灯りを消し、荷物をまとめてバスに乗ったとき、彼の頬には涙...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:20 PM