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June 16, 2026

FIFAワールドカップ2026 スペイン対カーボ・ヴェルデ
梅本健司

[ sports ]

 主力の両翼(ヤマルとニコ)、サブのムニョスもコンディション不良でベンチスタートとなったスペイン。左WGに入ったガヴィが内に絞り、空いたスペースを左SBのククレヤが使う形をとる。逆の右WGのフェラン・トーレスは常に絞るわけではないが、絞ったときは同サイドのSBヨレンテが押し上がる----もっとも彼は基本的にカウンターケアとして後方に留まっており、前半の立ち上がりはとりわけ中央からの崩しを軸に攻める。
 それを見越したカーボ・ヴェルデはしっかり中を閉めてブロックを形成。外はボールが渡ってからアプローチすればいい、と守備の優先順位を明確にする。理にかなっている。ククレヤであれ、トーレスであれ、ヨレンテであれ、ドリブルで仕掛けてくる脅威がないなら、対応しやすい。あとの問題は、カーボ・ヴェルデ中盤3枚の守備のスライドがいつまで続くか。
 同時に、スペインの攻撃もまた我慢だと思った。外に個で違いを作れる選手がいない。それでも、左大外に張ったククレヤは何度も最終ラインの背後を狙うランニングで相手を揺さぶり続けた。アイドレーション・タイムを境に、その攻撃は一段と露骨になる。裏抜けは本来、前線の選手に求められる動きなのだが、意外と後方の選手のほうが上手いことがある。コツは、最初から相手のバックライン上に立たないこと。走行距離は増えても、ラインに対して少し余裕(のりしろ)を持ったポジションから背後へ走ることで、パスの出し手がタイミングを選びやすくなる。ククレヤは、パスが出なかろうが、ボールがズレようが、その動きを繰り返していた。
 後半に入ってもジリジリと時間が経過し、71分、スペインはついにヤマルを投入。個の質でサイドを切り崩しにかかる。まだ万全ではないにしても、迫力は十分。するとカーボ・ヴェルデは両翼をバックラインに吸収させ、実質6バックを形成してこれに対応。そこに至るまでに、動きが鈍くなった選手やイエローをもらった選手をこまめに入れ替えていたことも、ここで効いてくる。
 結果的に痺れを切らしたのはスペインだったと思う。もう押し込めるだろうと判断したのか、87分にアンカーのロドリを下げてWGのニコを投入する。火力を上げたい意図はわかるのだが、こういう局面でゲームを動かし続けられる選手を下げてしまうと、攻撃はどうしても単調になる。ロドリは常にボールを左右に動かし、裏へ抜けるククレヤを一番見つけていたのも彼だった。しかも未来予知かと疑いたくなるような守備のリスク管理能力----その持ち主が消えたことで、スペインの攻撃は単発になり、何度かカーボ・ヴェルデのカウンターを招くことになってしまった。
 カーボ・ヴェルデの我慢が一枚上回った試合。ダークホース候補になるには前線の質がさすがに足りないと思うが、このチームと同じグループに入ったウルグアイも内心穏やかではないだろう。
 一方でスペインも、決して悪い内容ではなかった。ヤマルとニコが戻れば、もう少し楽な戦い方ができるはず。ただ、勝ち上がるほど日程が過密になり、チームによって何倍もの差が生じる移動距離、そして気候の変化が体力を容赦なく奪っていく----杜撰としか言いようのない今大会の運営状況の中で、ボールを保持するスタイルのチームほど戦い方の維持が難しくなるのではないか、という懸念はやっぱりある。