FIFAワールドカップ2026 フランス対セネガル
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セネガル陣営の後方サイドラインにボールを蹴り出してキックオフするフランス。流行りのパリサンジェルマン型(ルイス・エンリケ曰く最初にやったのはリヨンらしい)。つまりフランスは非保持のプレスからゲームに入る。
フランスの前線は2チーム組んでも余るほどのタレントが揃うが、やはり中心はエンバペ。残りの2〜3枚でバランスを取らなくてはならない。今日の配置は右にオリーセ、トップ下にデンベレ、左にドゥエ。どのポジションでも超一流を張れる彼らは、保持時に立ち位置を流動的に入れ替えながら相手のマークを撹乱する。ただしセネガルの守備が人基準のマンマークではなく、スペース基準のゾーンである以上、その効果は限定的だった印象で、これが後半にオリーセとデンベレの初期位置を入れ替える采配へ繋がった節はある。
一方、非保持時のフランスに付きまとう問題はエンバペの守備。前半の設計としては、プレスをかけるときに、デンベレがやや右寄りのFW的なポジションに移り、エンバペが左気味にスライドして後ろから4-4-2に近い形を作る想定だった。しかし残念ながら、エンバペの守備意識はそれほど高くない。たとえば6分、プレスに出るなら背後のゲィエへのパスコースを身体で消さなければならない場面でどっちつかずの動きになり、起点を作られてしまう。18分にもセネガルが左サイド後方でボールを持った際、ボールに寄ってきたゲィエをエンパペがマークすべきところを前方に残り、スペースを空けてしまった。プレスの基本は相手を片側に誘導し、近場の選手を確実に捕まえること。エンバペの淡泊な守備がその歯車を狂わせた。もっとも、守備を理由にベンチへ下げられる格ではないし、この試合でワールドカップの歴代フランス人得点記録まで更新してしまったとなれば、チーム内で守備の緩さを指摘できる者は誰もいないだろう。
後半、オリーセをトップ下へ移した狙いのひとつは、彼の推進力を中央で活かすこと。細かいポジションチェンジで数的優位を作るよりも、個人の質で局面を打開する発想。ゾーンを組むセネガルにとって、各自の担当エリアにオリーセのドリブルで侵入されると判断に混乱が生じる。
それと最初の得点が入るまでにセネガルがボールを引っ掛けるシーンが増えたのも、この交代と無関係ではないかもしれない。もう一度見返さないとはっきりとは言えないが、オリーセは前半のデンベレのようにFWの位置まで上がらず、トップ下にとどまって待ち構えることが多かった印象がある。少なくとも得点後はその傾向がはっきりしていた。前からの守備はかけにくくなり、ボールの奪いどころは下がるが、エンバペの緩い守備の影響が出づらく、相手を引き込んでからカウンターで仕留める絵が描きやすい。こちらの方がエンパペを含めたアグレッシブな守備構築より現実的に見えた。
ただし、そのかたちに落ち着いたのはスコアの推移あってこそで、フランスが主体的に持ち込んだとは言いがたい。そもそもセネガルがきちんと前へ出てこれるチームでなければ、フランスが自然とカウンター型に移行することもなかっただろう。スコアほど内容はポジティブではないと自覚することがフランスにとって重要だ。