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November 19, 2008

『ヘルベチカ〜世界を魅了する書体〜』ゲイリー・ハストウィット
宮一紀

 1957年、スイスの小さな金属活字の鋳造所で、後に世界を席巻することになるサンセリフ体が誕生する。マックス・ミーディンガーによって設計されたとされている、ラテン語で“スイス書体”を意味するHelveticaがそれであり、現在私たちの日常生活においてもっとも多くの局面で目にされる欧文書体である。本作はそのHelveticaをめぐる膨大なインタヴューから構成されるドキュメンタリー作品だ。  監督のゲ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:04 AM

October 1, 2008

『ソール・バスの世界』
宮一紀

 映画作品のタイトルバックにデザインの手法を取り入れた最初期の人物としてその名を映画史に燦然と輝かせるソール・バス(1920-96)。代表作を挙げればきりがない。オットー・プレミンジャー、ビリー・ワイルダー、ロバート・アルドリッチ、ウィリアム・ワイラー、アルフレッド・ヒッチコック、そしてもっとも最近ではマーティン・スコセッシやリドリー・スコットが全幅の信頼を寄せていたタイトルバック・デザイナーとし...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:00 AM

April 9, 2008

『ノーカントリー』ジョエル&イーサン・コーエン
梅本洋一

 『ノーカントリー』は、それまでぼくらが持っていたコーエン兄弟についての先入観を払拭してくれた。確かに多くの人たちが言うようにコーエン兄弟の多くのフィルムは、とても出来の良い映画学校の卒業生の作品のようだった。ひとつひとつのショットが適切で、物語を過不足なく語る技術が秀でていて、何よりも映画には歴史があることを心得ていて、その中の最良の部分を自らの作品に取り入れてきた。それは別の言い方をすれば、コ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:05 AM

November 16, 2007

『摩天楼』キング・ヴィダー
田中竜輔

 TSUTAYAをふらふらと散策していると、なんとなくこのタイトルが目につき、手に取ってみて初めてキング・ヴィダーのフィルムであることを知った。今年の2月にDVDがリリースされていたようだ。ヴィダーのフィルムの中でもこの作品は決して頻繁に耳にするタイトルではない。ためしにネットで検索してみると、映画の内容以上に、主演のゲイリー・クーパーとヒロインのパトリシア・ニールが熱烈な不倫関係を結んだというス...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:01 PM

November 15, 2007

『ラ・ヴァレ』バルベ・シュローデル
結城秀勇

 全編ニューギニアロケで撮影されたこの映画の撮影がどのようなものだったのか、出演者やスタッフのひとりひとりに聞いてみたい気がする。70年代前半、ネストール・アルメンドロスとともに、ギニアでのいくつかの短編ドキュメンタリーやウガンダでイディ・アミン・ダダのドキュメンタリーなどを撮影しているシュローデルだが、この映画においては撮影の過程がそのまま、未踏の地への旅というこの映画のストーリーそのものになっ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:05 PM

June 11, 2007

『[私家版]現代映画講義2.01——『デザンシャンテ』の余白に』
槻舘南菜子

 同じ映画を何度も見ることはよくあるのだが、人の話を二度聞く機会はめったにない。そしてそこにたまたま自分が映り込んでいて、固定されたキャメラの位置がその時座っていた席とほぼ同じアングルなのだから、なんとも不思議な気持ちになる。  そんな偶然も相まって私の手元に届いた『[私家版]現代映画講義2.01——『デザンシャンテ』の余白に』は、東京藝大、馬車道校舎で行われた横浜日仏学院のシネクラブでの大寺眞輔...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:33 AM

February 25, 2007

『So Lucky』ノエル・アクショテ
茂木恵介

 聴いたことのあるメロディー。当然だ。カヴァーなんだから。聴く度に、それを歌っている歌手が違う。ある時は、むさ苦しい集団が。またある時は、フリフリの衣装を身に纏った悲しき熱帯魚達が。それよりも、乳癌を克服したアブサンの妖精を演じた紫の下着が良く似合う女性の方が有名だろう。そんな彼女の楽曲をギターのみで、シンプルにコードとメロディーを爪弾いているのがノエル・アクショテの新譜だ。時折聴こえる、指が弦を...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:26 PM

February 19, 2007

『ロッキー・ザ・ファイナル』シルヴェスター・スタローン
松井 宏

 初めて親同伴なし友達だけで映画館に見に行ったフィルムが『ロッキー5/最後のドラマ』だったという小学6年の個人的な些事は措いておくが、しかしこの『ファイナル』を見たとたん驚愕するのはそこにある「救い難さ」だ。なにもフィルム自体が救い難い出来だというのではない。そこで冒頭から描写されてゆくロッキーの姿、その周囲、そしてフィラデルフィアの街があまりに救い難い様相を呈しているのだ。  ここでロッキーの言...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:15 PM

October 11, 2006

『レオパルドマンーー豹男』ジャック・ターナー
結城秀勇

冒頭から鳴り響くカスタネットの音がひとりのラテン女性のダンスに接続され、それは次いで隣人が苦情を言いながら壁をたたく音に引き継がれる。そこで起こるドラマの視点もまた隣人へと引き継がれる事になるのだが、はじめから最後まで鳴り響くカスタネットの音だけは、被害者、加害者、探偵役という物語上の役割を飛び越えた地点で鳴り響いている。 インパクトを持ったアクセサリーとして登場する黒豹が死の隠喩に変わるのは、そ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:13 PM

October 2, 2006

『吸血鬼ボボラカ』 マーク・ロブソン
結城秀勇

『キャット・ピープル』をはじめとする優れた怪奇フィルムを製作し、若くしてこの世を去ったRKOのプロデューサー、ヴァル・リュートンの作品がDVD化されている。 マーク・ロブソン監督による『吸血鬼ボボラカ』は、バルカン戦争を背景としながらギリシャの孤島に閉じこめられた一団に忍び寄る恐怖を描く。ボリス・カーロフ演じる軍人をはじめとする、とある孤島に滞在中の人間たちは、突然勃発した伝染病のためにその島に一...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:29 PM

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