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December 28, 2023

『ショーイング・アップ』ケリー・ライカート

[ cinema ]

 夜、愛猫リッキーが窓の隙間から入り込んできた鳩をおもちゃにして、羽根を散らばらせて床に横たわるその鳩を、リジー(ミシェル・ウィリアムズ)は箒とちりとりで窓の外に捨ててつぶやく。「どこか他の場所で死んで」。そして窓を閉めすぐさまこう続ける。「私って最低ね」。  翌日、隣人のジョー(ホン・チャウ)がその鳩を救出し、居合わせたリジーも否応なしに巻き込まれて、ふたりは鳩の骨折の手当をする。自分が留守の...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:24 AM

December 26, 2023

『枯れ葉』アキ・カウリスマキ

[ cinema ]

 車窓から光が差し込み、女の顔を照らす。女を乗せた路面電車はバス停を横切り、男の顔に影を走らせる。ニュアンスを欠いたふたつの顔の上で光と影が織りなすダンス。女と男は偶然と意志の相互作用によって出会いと別れを繰り返しながら、時には同一フレームに収まり、時には交互に映し出されることでスクリーンに豊かな陰影を刻み続ける。瞳で味わうメロドラマ。そんな言葉が脳裏をかすめる。  白色蛍光灯の厚かましい光が隅々...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:02 AM

December 13, 2023

『きのう生まれたわけじゃない』福間健二

[ cinema ]

 七海を演じるくるみの顔。この映画について書きたい理由のほとんどがそれだ。『きのう生まれたわけじゃない』を初めて見たとき、20年以上前に大島渚の『少年』を初めて見たときのように、「この顔を引き受けて生きたい」と思った。それだけで言いたいことのだいたい八割は言った。  でも本当に大事なのは残りの二割なのかもしれない。『少年』の阿部哲夫演じる少年が「少年」であるほどには、七海は「女の子」ではない。家の...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:17 PM

December 9, 2023

『王国(あるいはその家について)』草野なつか監督インタビュー 「あの日のことであり、これからのことでもある」

[ cinema , interview ]

12/9よりポレポレ東中野にて劇場公開される『王国(あるいはその家について)』。奇しくも最新作短編「夢の涯てまで」(映画『広島を上演する』中の一編)が同日より公開となる草野なつかだが、彼女の決して多くはないフィルモグラフィの中でも最も重要とも言える本作は、完成から5年越しの公開となる。  俳優の身体の変化を主題とした本作では、「役を獲得する過程」を「声を獲得する過程」であると捉え、同場面の別テイク...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:10 AM