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August 31, 2008

『ダークナイト』クリストファー・ノーラン
松井 宏

[ cinema, sports]

 バットマン出来の善し悪しは悪役にかかっている、というのがティム・バートンの教訓だったとすれば、ノーランの前作『ビギンズ』はそれを破ったゆえに駄目だったのわけかと勝手に納得していたものの、どっこい本作はジョーカー登場である、さてどうなるものかと期待は膨らむ。  で、やはりこのフィルムはジョーカーの肩にかかっていた。で、ジョーカーの存在に対して妙な感覚を持ってしまったので、このフィルムに対しても妙な...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:38 AM

August 22, 2008

『ダークナイト』クリストファー・ノーラン
結城秀勇

[ cinema, cinema]

 暗い夜かと思ったら、kがつくナイトだった。バットマンが活躍するゴッサムシティには「騎士」よりも「夜」の方がよく似合う。DCコミック版でもティム・バートン版でもアニメ版でもいいが、ゴッサムシティとはその大半を夜が支配する街、そして夜の生活者たちが支配する街である。まっとうな人間も一握りはいるようだが、あくまでも少数派で、そんな人たちの価値観の通用しない街であることが嫌われものヒーロー・バットマンの...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:12 PM

August 17, 2008

『TOKYO!<メルド>』レオス・カラックス
山崎雄太

[ book, cinema]

 日本人の目は女性器のようであるから汚らわしい……  こう被告席で吐き捨てるメルド(ドニ・ラヴァン)は、下水道の怪人である。といっても彼は、渋谷の事件以外とりわけ怖がられるようなこともしておらず、銀座においてもちょっと攻撃的な浮浪者といった程度で、けが人もいないようだ(食事も花にお札とわりと高尚)。メルドは、もうそもそもから「東京の人々」に恐れられており、われわれもまた「ニュース」を見ることによっ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:01 PM

August 11, 2008

『JUNO/ジュノ』ジェイソン・ライトマン
結城秀勇

[ cinema, cinema]

 前作『サンキュー・スモーキング』もそうだったが、この監督(『ゴーストバスターズ』のアイヴァン・ライトマンの息子である)の作品は嫌いになれない。一見小品だが重厚な味わいがあるというわけではなく、小品は小品ながら、その尺度身の丈にあった誠実な作品を見せてくれる。  なにかと『ゴーストワールド』と比較されている『JUNO/ジュノ』だが、重要な比較要素としては主人公と年上の男性との音楽の交換が挙げられる...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:42 AM

August 8, 2008

北京オリンピック・サッカー男子 アメリカ対日本 1-0
梅本洋一

[ cinema, sports]

 天津はすごく暑そうだ。ゲーム開始当初、気温は35度。画面が引いたときバックスタンドがぼやけて見える。湿気も多いのだろう。公害のせいもあるか。解説の山本昌邦は、アテネでの自らの体験を「オリンピックというのは、ユーロとはちがうんです。ピッチは綺麗ではないし、気温だって高い。綺麗なサッカーをして勝とうとしてもダメなんです」と語る。メキシコ・オリンピックの銅メダルは5バックで5-2-3という布陣だった。...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:08 AM

August 5, 2008

『ザ・ロード』コーマック・マッカーシー
宮一紀

[ book, cinema]

 一組の父と子が核戦争後と思しき灰燼と化した大地を延々と歩き続ける。空は暗澹たる分厚い雲に覆われ、そこに鳥の姿などあろうはずもない。寒冷化が進み、灰色の海の水は冷たい。もちろん魚など死に絶えているだろう。どうやら世界には〈道〉だけが残されたようだ。とても危険な〈道〉である。〈悪い者〉が出るかもしれないからだ。それでも彼らはひたすら〈道〉を南下して進んでゆく。多くの絶望的な光景に接しながら、父と子は...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:58 AM

『トワイライトシンドローム デッドクルーズ』古澤健
田中竜輔

[ architecture, cinema]

 現在の日本映画の実製作にかかわる状況というものがどのようなものなのか、映画監督でも何でもない一観客である私が知る由もないが、莫大な予算がかけられた信じ難い作品の予告編に対し、ただ呆然とすることにさすがに飽きてきた。もちろんそういった作品の多くを実際に見ていない怠惰故に、作品自体を全否定することなど許されるはずもないのだが、しかしそれら作品の多くに数億円という金額が費やされていると言われてもまるで...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:19 AM

August 1, 2008

『告発のとき』ポール・ハギス
高木佑介

[ cinema, sports]

 ダグラス・サーク特集にせっせと通う傍ら、気がつけば終了間際になってしまっていた『告発のとき』を見に行く。トミー・リー・ジョーンズの息子がイラク戦争から帰還したのち、謎の失踪を遂げたことが冒頭で知らされ、物語は終始その事件の捜査という一点に絞られる。ほどなくして失踪事件は息子のバラバラ焼死体の発見によって殺人事件へと発展し、元軍警察トミー・リー・ジョーンズの異常な活躍ぶりで事件の真相が明らかにされ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:23 PM

『レディ アサシン』オリヴィエ・アサイヤス
結城秀勇

[ cinema, music]

『クリーン』の冒頭を飾る工業地帯の夜景に打ちのめされて以来、アサイヤスの映画を見直してそこに映り込むインダストリアルな美しさを持ったものたちを再発見するたびに、愛としか言いようのない感情に心打たれる。たとえば『感傷的な運命』における、陶器という工業製品がそれを作った人間の手に柔らかに包まれる時。あるいは『夏時間』の、すべての身の回りのものがアノニマスな他と交換可能なものへ取り換わっていく中、主を...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:12 AM

『レディ アサシン』オリヴィエ・アサイヤス
田中竜輔

[ cinema, cinema]

 『デーモンラヴァー』のコニー・ニールセン、『CLEAN』のマギー・チャン同様、『レディアサシン』のアーシア・アルジェントもまたひとりぼっちだ。夥しい物量と運動に支配されている都市の空間の中で、彼女たちは自分自身を証明することができない。自分がどこに属していて、そして自分を護ってくれるものがどこにあるのかを、彼女たちは知ることができない。状況は彼女たちに無関心でありつつ彼女たちを束縛していて、彼女...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:44 AM