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October 30, 2018

『教誨師』佐向大

[ cinema]

 6人の死刑囚との対話を請け負った大杉漣演じる教誨師・保は、ことあるごとに「えっ、私ですか?」と、目の前に座る死刑囚に聞き返す。マネキンのように押し黙った刑務官たちが壁際に同席してはいるものの、どう考えてもこの人良さげな牧師にかけられた言葉だと判断するほかはない囚人たちの些細な問いに対して、彼はいちいち「えっ」と驚いて、律儀に「私ですか?」と尋ねる。もちろんこのやり取りは、彼がまだほんの半年前にこ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:55 AM

October 29, 2018

『FUGAKU 1 / 犬小屋のゾンビ』 青山真治

[ cinema]

 「いたるところで水の音がする」。という言葉で幕を開けた『EM エンバーミング』上映後のトークの中で樋口泰人は、この作品の6年後の『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』の冒頭から作品を覆う陰鬱さに比べて、『EM〜』はどこかまだ楽観的な気がする、と述べていた。フィルムからデジタルへ、という撮影素材の変遷と重ね合わせて語られるその話を聞きながら、『EM』の死体と死体そっくりな男と彼らと血が繋がった少女は、『...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:47 AM

October 23, 2018

『アンダー・ザ・シルバーレイク』デヴィッド・ロバート・ミッチェル

[ cinema]

 「犬殺しに気をつけろ」という落書きを消そうとする店員のガラス越しに揺れる胸、列に並ぶ女性客たちの腰のあたりをナメて、カウンターの後ろで談笑するふたりの女性店員のアップへ切り替わるスローモーション、そしてそれを見つめるアンドリュー・ガーフィールドの眠そうな目。そんな『アンダー・ザ・シルバーレイク』の冒頭を見ながら、なんとなくガス・ヴァン・サント『パラノイドパーク』のことを思い出していた。あの映画で...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:50 PM

October 11, 2018

『眼がスクリーンになるとき』福尾匠インタヴュー

[ book, interview]

「メディアよりイメージを優先する」態度  福尾匠の『 眼がスクリーンになるときーーゼロから読むドゥルーズ『シネマ』 』(フィルムアート社)は、映画をイメージの分類学として論じた『シネマ』から無数に並ぶ映画作品や作家の固有名をほとんど排し、哲学的なシステムとして再構築する野心的な挑戦である。それはある意味で映画史に対して挑発をかけるかのようでもあるが、運動イメージ=物語的な古典映画、時間イメージ=反...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:08 AM