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February 28, 2009

『このあいだ東京でね』青木淳悟
黒岩幹子

[ book , cinema ]

 表題作の中編1本と短編7作――うち1本は、「ごくごく一般的な戸建て住宅をまるごと一軒『トレースするだけ』の小説」の創作ノートに、西沢立衛設計の個人住宅への訪問記を(注釈の形態を用いて)添えたもの――で構成されたこの本は、青木淳悟の3作目の小説集とのこと。表紙カバーではどこのものともわからぬ白地図に、番地と思われる数字や信号とバスのマークだけが描かれていて、そのカバーをとると、やや高い位置(信号が...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:26 AM

『このあいだ東京でね』青木淳悟
渡辺進也

[ book , cinema ]

 書き始めておいて何なんだけれども、実はまだこの『このあいだ東京でね』を僕は全部読み終わったわけではない。言い訳するわけではないけれども、それでもこうやって見切発車であろうと書き始めてしまうのは、一刻も早くこの本が店頭に並んだことを知らせたいという気持ちが強いからなのである。おそらくこれはここ数ヶ月で最も心躍らせる本だから。  そもそもこの本と真剣に向き合ったとしたら、2、3ヶ月は平気で時間を必要...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:16 AM

February 27, 2009

『スモーキング・ハイ』デヴィッド・ゴードン・グリーン
結城秀勇

[ DVD , cinema ]

『無ケーカクの的中男/ノックトアップ』の監督ジャド・アパトー、主演セス・ローゲンによるプロデュース作品がまたDVDスルーでリリースされた。アパトープロデュース作品は去年から今年にかけてだけで5、6本あるんじゃないだろうか。本作品では主演のセス・ローゲンが、『スーパーバッド/童貞ウォーズ』でも組んだエヴァン・ゴールドバーグとともに、脚本に参加している。『無ケーカクの~』でも異彩を放っていた「ユダヤ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:31 PM

08-09チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦1st Leg
アーセナル対ローマ 1-0
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 久しぶりに躍動するアーセナルのゲームを見た。  プレミアリーグでは5ゲーム連続のドロー。中盤から前戦にかけての連動が乏しく、もうこのチームを応援するのはよそうと思うくらいだった。別にロンドン在住でもないし、このチームを応援する理由などもともとなかった。だが、前世紀の終わり辺りから、ショートパスとミドルレンジのパスを組み立てながらスペースを創造するこのチームのフットボールに魅せられ、構成するメンバ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:28 AM

February 25, 2009

『ベルサイユの子』ピエール・ショレール
松井宏

[ book , cinema ]

 「『ランジェ公爵夫人』のモンリヴォーの役によってこの俳優の稀有な才能が明らかとなり、彼のキャリアが再び開始されたと言えるでしょう」と、パスカル・ボニゼールはギヨーム・ドパルデューについて語っていた。キャリア初期にバイク事故を起こし、やがては義足を纏うことになるこのフランス人俳優を苛立たせていたのは、だが偉大な父ジェラールとの比較よりも、自身の出演作『ポーラX』の監督レオス・カラックスとの間にひと...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:27 AM

February 24, 2009

『ベルサイユの子』ピエール・ショレール
結城秀勇

[ architecture , cinema ]

 とある事情から、作品全体について云々できるほど集中できる環境でこの映画を見ていないのだが、それでもこうしてなにか書き付けずにいられないのはひとえに俳優ギヨーム・ドパルデューのためである。彼が先日急逝したということを思い出す、というような感傷的な気持ちとはまったく無縁に、彼がスクリーンに映し出されると反射的に目を奪われてしまう。ジャック・リヴェット『ランジェ公爵夫人』では暴力的なまでに即物的な肉体...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:56 PM

February 23, 2009

『チェンジリング』クリント・イーストウッド
田中竜輔

[ cinema , music ]

 ダニー・ボイルの圧勝に終わった第81回アカデミー賞の結果がはたして妥当なものかどうかは、『スラムドッグ$ミリオネア』だけでなく『MILK』や『フロスト×ニクソン』、そしてケイト・ウィンスレットが主演女優賞を獲得した『愛を読むひと』といった作品をまだ目にしていない私には判断できないけれども、アンジェリーナ・ジョリーの生涯最高の配役のひとつに違いないクリスティン・コリンズ婦人ならば、はたしてどの作品...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:19 PM

February 19, 2009

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』デヴィッド・フィンチャー
田中竜輔

[ cinema , sports ]

 ベンジャミン・バトンに刻まれていくのは、重力によって不可避に与えられる皮膚の歪みではなく、彼が体験した様々な出来事の集積だけだ。しかし老年期から出発する彼の人生には、その時間のベクトルの逆転を別にすれば、はたしてドラマティックな事柄など存在したのだろうか。もちろんこれは映画でありフィクションなのだから、現実の人生に比べればよっぽど派手で突出しているのかもしれない。けれども実のところこのフィルムに...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:17 AM

February 18, 2009

ジャック・ドゥミの『ローラ』と『天使の入江』
松井宏

[ cinema , cinema ]

 『ローラ』(61)でひとを驚かすのは、何よりもその速さだ。それはクラシックの、というかホークスの、なにもそのスクリューボールコメディだけでなく敢えて言うなら『コンドル』にこそ顕著だと思うのだが、速さだ。ひとびとはみな急いでいる。誰もが時計の時間を気にしている。「あと30分で行かなきゃ」「次の約束があるの」。ひとつの出来事/会話の最後に、必ずと言っていいほど次の出来事へ急ぐひとの姿が描かれる。その...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:47 PM

February 16, 2009

“Let’s Stay Together”Live @ the 51st Grammy Awards
黒岩幹子

[ cinema , music ]

 8日に行われたグラミー賞授賞式のライヴ・パフォーマンスを動画サイトであれこれチェックして、T.I.+JAY-Z+リル・ウェイン+カニエ・ウエスト+M.I.Aの競演やらロバート・プラントの後ろで湿った音をかき鳴らすTボーン・バーネットの存在感やらを堪能していると、アル・グリーン先生が何故かジャスティン・ティンバーレークと“Let’s Stay Together”をデュエットしている動画を発見。  ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:03 AM

『中国中央テレビ・新本部ビル(CCTV)およびテレビ文化センター(TVCC)』レム・コールハース(OMA)
宮一紀

[ architecture , cinema ]

 2月9日、中国・北京の新興ビジネス街にある中国中央テレビのビルが焼け落ちた。春節を祝って自社で打ち上げた大型花火が引火したとの説が有力であるが、ネット上にアップされた写真や映像を見るにつけ、高さ159メートルもの巨大なヴォリュームを持ったRC建造物がここまで派手に燃え上がることにただただ驚くしかない。幸いなことに、と言うと語弊があるけれども、あれだけ大規模な火災だったにも関わらず死者が消防士一...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:39 AM

February 15, 2009

『ザ・クリーナー 消された殺人』レニー・ハーリン
渡辺進也

[ cinema , photograph ]

 一見するとひどく平凡な映画にみえる。昨今のサスペンス映画につきものの、「ラスト6分40秒、この罠は見抜けない」といった宣伝文句を見るとジェームズ・フォーリーの『パーフェクト・ストレンジャー』のような作品を思い浮かべてしまう。しかし、もしそうした点からこの映画をみるとひどくつまらない映画のようにみえるのである。この映画のラストの、観客をびっくりさせるような度合いは非常に低い。これをサスペンス映画と...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:55 PM

『東京夢幻図絵』都筑道夫
渡辺進也

[ book , book ]

  これは小林信彦氏の本のなかで書かれていたことではなかったかと思うのだけど、東京はおよそ20年周期で変貌するのだそうである。その変貌の要因となった出来事、また具体的な開発などを列挙するとこうなるのではないか。1923年関東大震災、1944年東京大空襲、1964年東京オリンピック、80年代後半から90年代初めのバブル経済による高層ビルの乱立、2000年を挟んだ時期に相次いだ大規模商業施設の開発(1...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:53 PM

February 14, 2009

『ザ・クリーナー 消された殺人』レニー・ハーリン
高木佑介

[ DVD , cinema ]

 サミュエル・L・ジャクソン、エド・ハリス、エヴァ・メンデスとキャストは充実しているが、都内では一館だけでしかやっておらず、客の入りもそれほど良いとは言えなそうなので、もしかするとすぐに公開が終わってしまうかもしれないレニー・ハーリン監督作。  その豪華と言えば豪華なキャストと、親切に添えられている副邦題と、物語を支える主人公の経歴と舞台背景にただようフィルム・ノワール的な芳香のせいでか、(全然関...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:59 PM

February 12, 2009

W杯アジア最終予選 日本対オーストラリア 0-0
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 やはり勝ちにいったゲームでスコアレスドローというのは、このチームに、力がないということだ。多くが欧州のチームに所属しているオーストラリアの選手たちが、ベストコンディションになく、怪我人もいる現状。それに対して日本代表は、ほぼベストメンバー。ホームゲームなのに勝ち点3が取れない。  だが、すごいゲームのスコアレスドローもないわけではない。勝ち点1が問題なのではなくて、このゲームにワクワク感がなかっ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:17 AM

February 11, 2009

『ロルナの祈り』ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
梅本洋一

[ cinema , talk ]

 『ロゼッタ』についての批評の中で、ジャン=マルク・ラランヌは、ロゼッタという少女の身体の中にキャメラが埋め込まれたようだ、と書いたことがあった。ダルデンヌ兄弟のフィルムを見ていると、いつもその文章が思い浮かぶ。ロングショットを欠いた極度に主人公に近いキャメラ、そして、主人公が出ていないショットはいつもひとつもない。だから、ぼくらには、主人公とその小さな周囲しか見えない。そして、いつものように、付...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:54 AM

『レボリューショナリーロード 燃え尽きるまで』サム・メンデス
梅本洋一

[ cinema , cinema ]

 「あれから11年後……」ということは、『タイタニック』からもう11年が経ったということか。ぼくも歳をとったものだ。レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが、1955年のニューヨーク郊外に住む夫婦を演じている。妻は女優を夢見ているが挫折、夫は家族を支えるために大企業のビルの15階で「死ぬほど退屈な仕事」に耐える。ふたりは郊外の「レボリューショナリー・ロード」という呼ばれる一角に素敵な家を...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:51 AM

February 10, 2009

『レールズ&タイズ』アリソン・イーストウッド
黒岩幹子

[ DVD , book ]

 年末年始に昨年発売された日本劇場未公開作のDVDを意図的に立て続けに見たので、しばらく未公開作はチェックしないでいいだろうと思っていたところに、このDVDを見つけてしまった。クリント・イーストウッドの娘であり、『真夜中のサバナ』ではヒロインを演じていたアリソンが映画を撮るらしいという噂は以前聞いていたが、すっかり失念してしまっていて、TSUTAYAの店頭で発見したときには不意を突かれた。  製作...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:00 AM

February 9, 2009

マイクロソフトカップ決勝 三洋対東芝 6-17
梅本洋一

[ sports , sports ]

 トニー・ブラウンの復帰のニュースはゲームメイクという点において三洋には朗報だったはずだ。それに対して東芝はロマアヌの大麻疑惑というバッドニュース。東芝には外国人選手に関するバッドニュースが連続する。  秩父宮は、おそらく今シーズン一番の入りだろう。バックスタンドはほとんど埋まっている。強風。配られたメンバー表が風に舞う。たぶん三洋がリヴェンジするのではないか、というぼくの予想。ブラウン、入江のふ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:15 PM

February 8, 2009

『NAVI』301号「NAVIっぽさってどういうコト?」
渡辺進也

[ architecture , book ]

 僕は車の免許を持っていないので、とくにクルマが好きなのでもなく、近いうちにクルマを購入する予定もないのである。ましてや「エンスー」であるわけでもない。だけれども、毎月『NAVI』は手にとるのである。というのは、単に、もうここで10年以上も続いている「ジドウシャ巷談 是々非々」というえのきどいちろうさんの連載が読みたいからなのであって、今回もまたクルマに関係ないはなしだったな(笑)なんて思いながら...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:21 PM

February 7, 2009

『感染列島』瀬々敬久
田中竜輔

[ cinema , cinema ]

 タイトルとは裏腹に「感染」という現象に対するこのフィルムの関心はきわめて薄い。それは前提条件にすぎず(それが空気や体液といった経路によってもたらされることが説明されれば十分なのだとオープニングのCGは雄弁に語っている)、その結果としての状況の描写だけが並べられていく。荒廃した東京の相貌にせよ、病院に押し寄せる人の群れにせよ、それらは別に未知の病原菌をその原因とせずとも、正体不明の怪獣でも宇宙人で...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:32 AM

February 6, 2009

『ラーメン・ガール』ロバート・アラン・アッカーマン
松井宏

[ cinema , cinema ]

 『ラーメン・ガール』は決して出来の良いフィルムではない。むしろ多くの失敗や穴がある。ところが穴から垣間見える美徳のようなものがある。ところがそれを美徳と呼んでいいかどうかは、やはりまったく確かではない。  ブリタニー・マーフィと西田敏行主演なのにまったく世間を騒がせなかったこのフィルムは、始まって一瞬『ロスト・イン・トランスレーション』の30歳版かと思わせるが、実際はあっけらかんとそんな危惧を掃...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:08 AM

『ランド・オブ・ウーマン/優しい雨の降る街で』ジョナサン・カスダン
結城秀勇

[ DVD , cinema ]

 日本では劇場未公開、昨年11月にDVDリリースされた一本。2/13発売の「nobody」29号では2008年に出たDVDスルー作品の星取をおこなっているが、その中でも、『マーゴット・ウェディング』(ノア・バームバック)や『ロビン・ウィリアムスのもしも私が大統領だったら……』(バリー・レヴィンソン)などと並んで評価の高い一本だった。  ということで見てみると、メグ・ライアンがいい。無根拠な断言だが...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:13 AM

February 5, 2009

『グラン・トリノ』クリント・イーストウッド
梅本洋一

[ cinema , cinema ]

 このフィルムのタイトルであるグラン・トリノはクルマの名前だ。アメ車に詳しくないぼくはスペックを調べてみた。このクルマは72年から76年にかけて生産されたもので、そのスペックはV8、排気量7542cc、出力219/4000、最大トルクは50.6/2600ということだ。その巨大な排気量から考えても、グリーンニューディールが叫ばれる現在、決して作られることはないだろう。排気量の割には出力も219馬力で...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:16 AM

February 4, 2009

『グラン・トリノ』クリント・イーストウッド
高木佑介

[ cinema , cinema ]

 脚本を読んでイーストウッド自身も思ったそうだが、かつて彼が撮った作品を駆け巡るかのように、この『グラン・トリノ』はそのどこにあるとも知れない場所——だが、どこにでもありそうな世界——を、私たちの目の前に広げていく。『センチメンタル・アドベンチャー』、『許されざる者』、『パーフェクト・ワールド』……。ポーチに腰かけ缶ビールを飲み干すウォルト・コワルスキー(=イーストウッド)が時折語る自身の経歴は、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:45 PM

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