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『冬の旅』アニエス・ヴァルダ

[ cinema ]

©Ciné-Tamaris  ヌーヴェルヴァーグ の祖母と呼ばれ2019年にこの世を去ったアニエス・ヴァルダは1985年に本作『Sans toit ni loi(屋根も法律もない)』を製作した。日本では『冬の旅』と題して公開され、VHS化に伴って『さすらう女』に題が変更された。  この映画は主人公モナが死体で発見される場面から始まる。彼女は畑に倒れ凍死している状態で見つかるが、警察は彼女の死...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:37 PM

『奥様は妊娠中』ソフィー・ルトゥルヌール

[ cinema ]

C)DR  『奥様は妊娠中』には、2回の出産シーンがある。1度めは、世界的なピアニストである、妻・クレアが海外ツアーのために乗った飛行機の中で、夫で彼女のマネージャーであるフレデリックが、出産を迎えようとする妊婦の手助けをする。お客様の中にお医者さんはいませんかというアナウンスに応じて、その場になぜか居合わせた彼は、出産間近の女性に励ましの声をかけ、そして無事生まれた赤ちゃんを母親に見せるために...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:20 PM

March 8, 2022

『弟とアンドロイドと僕』阪本順治

[ cinema ]

 印象的ではあるが、記憶に定着しづらいタイトルである。もしこれが「僕と弟とアンドロイド」というタイトルだったら、一人称である「僕」を基点とする安定した構図が形成され、スムーズに記憶できるのではないだろうか。「弟」と「アンドロイド」の後ろに、「僕」が並列するタイトルの"座りの悪さ"。それは、本作が問題とする「孤独の性質」と深く関わっている。  「"究極の孤独"を描いた禁断の問題作」という触れ込みから...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:14 PM

March 6, 2022

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ジェーン・カンピオン

[ cinema ]

 思い返して何より忘れがたいのは、アナクロニックなカウボーイのフィルを演じるベネディクト・カンバーバッチの手のことばかりである。妖艶という言葉がぴったりな美少年のピーター(コディ・スミット=マクフィー)が作った精巧な紙の造花を指でいじる、あからさまな「陵辱」のシーンをはじめとして、血のついた手で手紙をしたため、素手で牛を去勢し、皮をなめて縄を編むフィルの手仕事が、クロースアップによって頻繁に映し出...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:56 PM

March 1, 2022

『暴力の街』ジョセフ・ロージー

[ cinema ]

 初期ジョセフ・ロージー映画とは、明晰な理念と的確な演出を行いうる手腕が、それをもってしても処理不可能になる複雑で困難な主題に相対し、苦闘したさまの記録ではないだろうか。ある種の類似を持つ『暴力の街』(1950)と『M』(1951)などを立て続けに観るとそう思う。  そういう重みのある『暴力の街』の脚本を書いたのは、ジェフリー・ホームズGeoffrey Homes=ダニエル・マンワリング(メインウ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:05 PM

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