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January 26, 2018

『タイニー・ファニチャー』レナ・ダナム
隈元博樹

 主人公のオーラ(レナ・ダナム)は、絶えず痛みに取り憑かれている。しかし単に痛みと言っても、誰かによる暴力や中傷の矛先になるわけでもなく、またふいに誰かを傷つけてしまうものでもない。自宅に引きこもるわけでもなければ、口数の少ないタイプでもない。むしろ彼女は自発的に物事を選び、他者へと歩み寄ることに積極的な存在だ。それなのにオーラの選択は痛みとともにあり、冒頭から私たちはその光景を見守り続けることし...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:11 PM

December 16, 2017

『希望のかなた』アキ・カウリスマキ
結城秀勇

35mmフィルムでの上映(※12月17日まで!)という英断を下したユーロスペースには、どれだけ感謝してもし足りない。DCPではこの作品のよさが伝わらないとか言うつもりはさらさらない。もはや圧倒的大多数であるデジタルとの比較の上に成り立つそんなスノビズムはどうでもいいし、ましてやかつて映画はこうであったという郷愁に囚われているわけでもない。『希望のかなた』が35mmで上映されるべきなのは、いまそこに...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:47 AM

December 2, 2017

『最低。』瀬々敬久
結城秀勇

なんの前情報も一切なしで見始めたので、断片的なカットの連なりで主役である3人の女性たちが描写されていく冒頭部分を見ていてちょっと混乱する。どうやら回想シーンも含まれているらしいこのパートの中で、とりあえず3人の女性は別々の場所にいるようだ。もしかしてこの3人はひとりの人物の違う時代を演じてるのか?いや名前も違うしそもそもこんなタイプの異なる3人を選ぶ意味もわからない、じゃあ実は3人のうちの誰かが誰...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:45 AM

October 29, 2017

『イスマエルの亡霊たち』アルノー・デプレシャン
結城秀勇

イヴァン・デダリュス。この映画で一番初めに発せられる言葉であるこの名前によって喚起されるものは、すでにこの映画でこの後に語られる物事よりも大きなことを原理的に孕んでいる。『クリスマス・ストーリー』でメルヴィル・プポーが演じていたイヴァン・ヴュイヤールの姿を、『そして僕は恋をする』のマチュー・アマルリックから『クリスマス・ストーリー』のエミール・ベルリング、そして『あの頃エッフェル塔の下で』のカンタ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:10 PM

September 24, 2017

『望郷』菊地健雄
結城秀勇

この作品を最初に見たとき、なにかもっと大きなものの一部が描かれている、という印象を受けた。それは全体で6つの連作短編からなる原作のうちの、2短編の映画化という事情によるものかと思い、湊かなえの原作を読んでみた。だが、本来それぞれがまったく別々に独立した物語として書かれている原作を読んでみても、その大きな全体像が見えたわけでもなかったし、そもそもひとつひとつの短編がなにかもっと大きなものの一部をなし...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:57 PM

September 3, 2017

『甘き人生』マルコ・ベロッキオ
中村修七

 ベッドに眠る少年の耳元で「たのしい夢を」と囁いた母親は、羽織っていたローブを脱いで部屋を後にする。未明になって、眠りについていた少年は、父親の叫び声と大きな炸裂音によって目を覚ます。家に入り込んできた親戚たちによって少年は囲まれるが、大人たちは適当な嘘をついて母親が彼の前から姿を消したことを誤魔化す。 この間に、母親の死という出来事が発生している。のちに母親の死が落下と関係するものであると明らか...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:08 PM

August 25, 2017

『パターソン』ジム・ジャームッシュ
隈元博樹

 冒頭から真っ先に思ったのは、STANLEYのランチボックスになりたいということだった。それは工具箱にも似た重厚なフォルムに魅力を感じたわけでなく、たんなる変身願望の欲に駆られたわけでもない。この映画に登場する薄緑色のランチボックスになりさえすれば、この映画の主人公に訪れる些細な時間やできごとに、他のどの人物よりも身近な存在として立ち会えるのではないかと思ったからだった。  朝は決まった時間に目を...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:49 AM

August 3, 2017

『夏の娘たち〜ひめごと〜』堀禎一
結城秀勇

二度見たら、一度目よりも(あくまで量的な)理解が増えるだろうかと思ったが、いやあ、清々しいまでに一切そんなことがなかった。冒頭の病室からすでに無際限に増殖していく血縁地縁のネットワークについては、一度目に見た時点で理解し得ることはほぼ理解していたことがわかっただけだったし、初見で心をつかまれたあのカットとカットのつなぎやアクションとアクションの間あるいはアクションそれ自体に存在する「速さ」について...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:39 PM

August 2, 2017

『20センチュリー・ウーマン』マイク・ミルズ
結城秀勇

ようやくこの映画を見て、ようやくタイトルの示す「20世紀の女性」が複数形であったことを知る。 スーパーマーケットの駐車場で派手に炎上するフォード・ギャラクシーに被さるようにしてはじまるドロシア(アネット・ベニング)のモノローグが、1924年に生まれた彼女は40歳で息子を出産したことを告げる。世紀の3/4を生きたこの女性(後に彼女は1999年に亡くなるということがわかる)が、ああ日本語タイトルでいう...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:21 PM

June 25, 2017

『牯嶺街少年殺人事件』エドワード・ヤン
中村修七

『牯嶺街少年殺人事件』は、ひとつの時代状況を丸ごと掴もうとするスケールとともに、緻密な構図のショットと的確な演出によって作られた傑作だ。そして、言うまでもなく、我々の時代が共有しうる最も偉大な映画のひとつだ。この映画には、世界がある。ひとつの時代があり、多くの人々が暮らす都市があり、異なる集団の間における争いがあり、ある家族の生活があり、友人たちの交わりがあり、恋人同士の関係がある。約4時間にわた...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:07 PM

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