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『とんがって本気』加賀まりこ

文京区小日向に川口アパートという築40年を超えるモダンな集合住宅がある。60年代そのアパートには、加賀まりこをはじめとして多くの芸能人が住んでいた。加賀まりこの自伝であるこの本で、「当時、川口アパートに住んでいて」などと記されると、「当時」のことを知らない私は、川口アパートって何だろうと考え込んでしまうのだ。 この本には、私たち一般人から見ると、信じられないような高度経済成長期の芸能人の生活がある...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:36 AM

March 23, 2004

2004年ラグビー日本選手権決勝 東芝府中対神戸製鋼

トップリーグ、マイクロソフト・カップと続き、ついに今シーズン最後の公式戦を迎えた。長いシーズン──本当は極めて常識的な長さ──もようやく終わりを告げる。ミスは多かったものの、このゲームのスコア──22-10で東芝──を見れば、今シーズンの大きな改編はとりあえず成功したと書いておこう。去年まではもっと早くシーズンを終え、東芝対神綱のようなマッチアップは社会人選手権の決勝ぐらいしかなかったわけだ。高度...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:34 AM

March 16, 2004

『あやめ 鰈 ひかがみ』松浦寿輝

本書には「あやめ」と「鰈」と「ひかがみ」という3つの短編が収められている。それぞれのタイトルを並べただけのそっけないタイトル。短編集をつくるときにそこに収められる短編のタイトルのどれかひとつを選びとって一冊の本のタイトルとするのでもなく、またそれらをまとめあげるかたちで新しく考えだされたタイトルがつけられるでもない。そうしたタイトルのつけかたそれ自体がすでに本書の性質を如実に表しているかのようだ。...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:28 AM

March 15, 2004

『ドッグヴィル』ラース・フォン・トリアー

真っ白な雪が道路を覆う。そこに一本の線が引かれる。集会所からグレースの家まで引かれた一歩の線。それは、彼女の首に取り付けられた錘の引きずった跡である。彼女につけられた錘や鐘は、大きな音を立て彼女の居場所を村の人々に知らせるためにある。伝道所の大きな鐘が彼女に時間や彼女の危機を知らせるように、彼女の首につけられた小さな鐘は、彼女がどこにいて何をしているのかを村の人々に知らしめる。 月明かりが村の人々...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:27 AM

March 13, 2004

『生まれる森』島本理生

島本理生は変わらない。彼女の新作『生まれる森』を読んで思ったのは、前作『リトル・バイ・リトル』から彼女にはなんの変化も訪れなかったということだ。 仲俣暁生が指摘するように、島本理生の前作『リトル・バイ・リトル』は「ふつうの他人との関係」を志向していた。愛情や友情のドラマというような愛憎が入り乱れて感情と感情がぶつかり合うというより、登場人物がただ単に人と出会い、接するさまが描写されていた。島本の文...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:24 AM

『簡単な生活』松尾清貴

初めて耳にする作家だ。おそらくこの作品がデビュー作であり、巻末の略歴からすると著者は27歳だろうか。その27歳の新人が1923年の初秋、あの歴史的大災害が起こったときの東京を舞台に書いた小説が「簡単な生活」である。 <簡単な生活>とは何か、そしてその舞台としてなぜ当時の東京が選ばれたのか。この作品に対してまず問われるべきはそんなところだろうか。恐らくこの作家(小説)はそういった問いに対して明解な答...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:23 AM

March 11, 2004

『ビッグ・フィッシュ』ティム・バートン

その過去が嘘と伝説にまみれた父とそれを信じることができない息子との和解。そんな物語を持つこのティム・バートンの新作は、しかしながら実生活において父を亡くし、息子を授かったバートンの成熟という言葉だけで片付けられるような単なるファンタジー風味の家族再生の物語ではない。 ビリー・クラダップ演じるウィリアム・ブルームは、目の前で病に伏せている父エドワード・ブルーム(アルバート・フィニー)を許せないのでは...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:21 AM

January 31, 2004

「旅をする裸の眼」多和田葉子(「群像」2月号)

近年の多和田葉子の小説は「ざわめき」のなかにある。そこでは能動的な聴取は行われず、いくつもの音がそれぞれ等価なものとして差異なく耳にまとわりつく。たとえばあなたが駅のターミナルに立っているような気分がするとしたら、それはただ汽車での移動が頻繁に行われるためだけではないのだ。「翌朝になると四枚の壁すべてから物音が聞こえた」。その(この)耳はそこにあるすべての音に晒されている。 サイゴンで暮らしていた...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:52 PM

January 27, 2004

ラグビー トップリーグが終わった

今シーズンから始まったラグビートップリーグが閉幕した。優勝は神戸製鋼。この日は、東芝対サントリー、神戸対Cのゲームが同時刻にキックオフ。NECを除くどのチームにも優勝の可能性があった。僕らはスカパーのふたつのチャンネルをザッピングしながら経緯を見守る。だが、東芝対サントリーの解説をしていた小林深緑郎が「ゲームが終わるまでは優勝がどのチームに行くかではなく、ゲームに集中しましょう」と語るのを聞いて、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:50 PM

January 10, 2004

『ニシノユキヒコの恋と冒険』川上弘美

ニシノユキヒコという一人の男の名前が何度となく登場する。「西野君」「幸彦」「ニシノさん」「ユキヒコ君」呼び方や文字はそれぞれ違っていても、音としての「ニシノユキヒコ」は常に存在する。それが本当に同一人物の「ニシノユキヒコ」であるかどうかは明らかではない。ただ「ニシノユキヒコ」というひとつの音がそこに存在し続けるというだけだ。 一方、女たちの名前は次から次へと変化していく。夏美、みなみ、カノコ、マナ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:05 PM

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