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March 6, 2009

『チェンジリング』クリント・イーストウッド
結城秀勇

 トロリーバスが市民の足として行き来し、もはや一部の者の所有物に過ぎないとは言えない高い車高の自家用車がゆっくりと道を行き交う。その街は汚職に支配されている。新聞はそうした警察や政治家の見解を翌日の誌面に忠実に反映するが、その一方、放送が開始されてまだ10年と経たないラジオもまたマイノリティのためのメディアとして力を蓄えつつある。女性が仕事につくことはもはや当然のことと見なされ、そうした経済条件さ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:59 PM

March 1, 2009

『黒人大統領誕生をサッチモで祝福する』平岡正明
田中竜輔

 いったい最新の著作がどれなのかいつもわからなくなってしまう平岡正明氏だが、昨年11月に出版された最新刊である本書のことも今年に入って2月の終り頃にようやく知った。偶然この強烈なタイトルに惹かれて本を手にとって初めてそれが平岡正明の著作であることに気づいただけのことだが、「一九〇〇年、三遊亭園長が死に、ルイ・アームストロングが生まれた。したがってジャズは落語の生まれ変わりであります」、という100...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:17 AM

February 28, 2009

『このあいだ東京でね』青木淳悟
黒岩幹子

 表題作の中編1本と短編7作――うち1本は、「ごくごく一般的な戸建て住宅をまるごと一軒『トレースするだけ』の小説」の創作ノートに、西沢立衛設計の個人住宅への訪問記を(注釈の形態を用いて)添えたもの――で構成されたこの本は、青木淳悟の3作目の小説集とのこと。表紙カバーではどこのものともわからぬ白地図に、番地と思われる数字や信号とバスのマークだけが描かれていて、そのカバーをとると、やや高い位置(信号が...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:26 AM

『このあいだ東京でね』青木淳悟
渡辺進也

 書き始めておいて何なんだけれども、実はまだこの『このあいだ東京でね』を僕は全部読み終わったわけではない。言い訳するわけではないけれども、それでもこうやって見切発車であろうと書き始めてしまうのは、一刻も早くこの本が店頭に並んだことを知らせたいという気持ちが強いからなのである。おそらくこれはここ数ヶ月で最も心躍らせる本だから。  そもそもこの本と真剣に向き合ったとしたら、2、3ヶ月は平気で時間を必要...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:16 AM

February 25, 2009

『ベルサイユの子』ピエール・ショレール
松井宏

 「『ランジェ公爵夫人』のモンリヴォーの役によってこの俳優の稀有な才能が明らかとなり、彼のキャリアが再び開始されたと言えるでしょう」と、パスカル・ボニゼールはギヨーム・ドパルデューについて語っていた。キャリア初期にバイク事故を起こし、やがては義足を纏うことになるこのフランス人俳優を苛立たせていたのは、だが偉大な父ジェラールとの比較よりも、自身の出演作『ポーラX』の監督レオス・カラックスとの間にひと...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:27 AM

February 15, 2009

『東京夢幻図絵』都筑道夫
渡辺進也

  これは小林信彦氏の本のなかで書かれていたことではなかったかと思うのだけど、東京はおよそ20年周期で変貌するのだそうである。その変貌の要因となった出来事、また具体的な開発などを列挙するとこうなるのではないか。1923年関東大震災、1944年東京大空襲、1964年東京オリンピック、80年代後半から90年代初めのバブル経済による高層ビルの乱立、2000年を挟んだ時期に相次いだ大規模商業施設の開発(1...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:53 PM

February 10, 2009

『レールズ&タイズ』アリソン・イーストウッド
黒岩幹子

 年末年始に昨年発売された日本劇場未公開作のDVDを意図的に立て続けに見たので、しばらく未公開作はチェックしないでいいだろうと思っていたところに、このDVDを見つけてしまった。クリント・イーストウッドの娘であり、『真夜中のサバナ』ではヒロインを演じていたアリソンが映画を撮るらしいという噂は以前聞いていたが、すっかり失念してしまっていて、TSUTAYAの店頭で発見したときには不意を突かれた。  製作...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:00 AM

February 8, 2009

『NAVI』301号「NAVIっぽさってどういうコト?」
渡辺進也

 僕は車の免許を持っていないので、とくにクルマが好きなのでもなく、近いうちにクルマを購入する予定もないのである。ましてや「エンスー」であるわけでもない。だけれども、毎月『NAVI』は手にとるのである。というのは、単に、もうここで10年以上も続いている「ジドウシャ巷談 是々非々」というえのきどいちろうさんの連載が読みたいからなのであって、今回もまたクルマに関係ないはなしだったな(笑)なんて思いながら...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:21 PM

January 22, 2009

『Casa BRUTUS』2009年2月号 最強・最新! 住宅案内2009
長島明夫

 ここ数年、1年に1冊は『Casa BRUTUS』を買っている。1998年に季刊として創刊し、2000年に月刊化、今号で通巻107号になる同誌では、2004年の3月号(通巻48号)で初めて日本の新作住宅を特集し、翌2005年以降は毎年2月号で、その1年間をまとめる住宅の特集「最強・最新! 住宅案内」を組んでいる。それが今年もまた書店に積まれた。  今号も内容は充実している。まず中村拓志や藤本壮介、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:49 PM

January 14, 2009

『近代日本の国際リゾート──1930年代の国際観光ホテルを中心に』砂本文彦
梅本洋一

 建築史家、砂本文彦の博士論文が下敷きになった大著である。大東亜共栄圏に向けて中国侵略を開始した時代、当時の鉄道省を中心に、日本で初めての国際観光ホテルの建設が進んでいたことは知られている。外貨不足が侵略という軍事的な結末を見た当時、外貨不足を観光立国で補おうとする政策も進められていた。もちろん観光立国政策は戦争に向かって頓挫することになるが、その政策の成果が、30年代に建設された国際観光ホテルで...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:32 AM

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