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December 4, 2010

『海上伝奇』ジャ・ジャンクー
増田景子

 喋り声、物を売る声、テレビやラジオの放送音、中華鍋で炒める音、食器がぶつかる音、椅子やテーブルのぶつかる音、麻雀牌の音、歩く音、車のエンジンをふかした音、けたたましいクラクションの音――。  賈 樟柯の新作である『海上伝奇』からは、まるで上海にいるかのごとく音が鳴り響く。路地にも、店内にも、どこでもかしこでもあらゆる音が鳴り響き重なり合って存在しているのだ。それらの音に私は感動を覚える。というも...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:37 AM

November 30, 2010

バルセロナ対レアル・マドリー 5-0
梅本洋一

 火曜日の朝から信じがたいものを見てしまった。チャビの一発に始まり、ジェフレンの5点目まで、バルサがディフェンダーを付けたアタック練習のように得点を重ねていく。ディフェンス側は、ボールを奪取するまでの仕事で、アタック側は決め事の確認。息子のチームでさえよくやっている練習だ。彼によれば、ディフェンス組に入ると「つまんないよ!」ということ。このゲームではディフェンス組がこのゲームまで無敗のレアルなのだ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:33 PM

『行きずりの街』阪本順治
梅本洋一

 志水辰夫の原作を読んでいないし、水谷豊主演で一度テレビドラマ化されたようだが、それも見ていない。何となくこの映画を見た。平日の午後の横浜ブルク13という新しいシネコンはガラガラだった。  見る者に少しずつしか物語のキーを与えない編集が続く。きっと複雑な話なのだろうと思う。田舎の病院で呼吸器を付けている老婆。見守る波多野(仲村トオル)。老婆の遠縁にあたる娘を東京へ探しに行く波多野。なぜ?  確かに...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:21 AM

November 26, 2010

『The Depths』濱口竜介
結城秀勇

 濱口作品のトレードマークとなりつつあるモノレールの車窓を通じて、デジタルカメラが風景を切り取る。そのフレームはシネマスコープであるこの作品自体のフレームより小さい。ふたつのフレームに挟まれた中間領域はグレーに沈み、見られると同時に見なかったもの、カメラによって切り取られたと同時に切り取られなかったものにされる。あえていうまでもないが、濱口竜介の映画における登場人物の「深さ」とは現実感や奥行きの問...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:47 AM

November 22, 2010

『森崎書店の日々』日向朝子
梅本洋一

 片岡義男の新刊短編集『階段を駆け上がる』に収められた7篇の短編の中に『雨降りのミロンガ』という素敵な短編がある。地下鉄の神保町を出ると雨が降っていて、そこで主人公は20年ぶりの偶然ある女性に会う。その女性は、20年前「ミロンガ」のウェイトレスをしていて、主人公はそこの客だったという話だ。「ミロンガ」とか「ラドリオ」とか「さぼうる」とかを知っている人には、とても吸引力のある短編だ。ぜったいに神保町...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:05 AM

November 3, 2010

『ナイト&デイ』ジェームズ・マンゴールド
結城秀勇

 謎に満ちたエージェント・ロイ(トム・クルーズ)に連れ去られるようにして、ジューン(キャメロン・ディアス)は世界中を駆け巡る。カンザス、ブルックリン、南海の孤島、オーストリア、スペイン……。その移動の過程はほとんど描かれることなく、彼女の意識が薄れた後再び甦ることを意味する黒いスクリーンが、その距離を埋める。唯一映画だけが、その空間的な距離をなにも映らない映像によって代用することが出来る。ブラック...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:31 AM

October 28, 2010

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』瀬田なつき+『神々と男たち』グザヴィエ・ボーヴォワ@東京国際映画祭
結城秀勇

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』瀬田なつき。東京湾岸の光景、横たわる少女と彼女の生足、スクリーンのこちら側だけに向かって放たれる「嘘だけど」という台詞、宇宙の姿を映し出すスクリーンプロセス……。瀬田なつきの商業映画第一作はどこをどう切っても瀬田印が満載だ。 陰惨な過去の事件ーーそうではなかったこともあり得たのかもしれない過去ーーによってだけ結びつくひと組の少年少女。過去はなぜかいま唐突に現在を...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:13 PM

October 27, 2010

『刑事ベラミー』クロード・シャブロル+『ゲスト』ホセ・ルイス・ゲリン@東京国際映画祭
結城秀勇

『刑事ベラミー』クロード・シャブロル。墓地とそこに流れる口笛。カメラがゆっくりとパンし始め、それがクレーンを使ったパンに切り替わって左回りにぐるりぐるりとこうべを巡らせていくと海へ。しかし最終的にカメラが指し示すのは美しい海の姿の方ではなくて、その縁の掛けしたに落ちた丸焦げの車と、そのすぐそばに転がる丸焦げの死体である。 この事件の発端を示すショットを映した後すぐに、そこから30km離れたベラミー...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:51 AM

October 26, 2010

『そして、地に平和を』 マッテオ・ボトルーニョ、ダニエレ・コルッチーニ+『ハンズ・アップ!』ロマン・グーピル@東京国際映画祭
結城秀勇

ローマ郊外の低所得者層向け集合住宅を舞台とする『そして、地に平和を』は、ひとつの場所を描こうとする試みであるだろう。 長い刑務所生活から帰ってきたひとりの服役囚を観察者として、非常にフォトジェニックな大型の集合住宅の姿が切り取られる。ある共同体への帰還者の視点を通じて、高い建物に見下ろされる公園や広場や駐車場は、単に荒廃した地方都市の生活のドキュメントとなるのではなく、サーガ的な空間が立ち上がる場...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:12 AM

October 12, 2010

池部良追悼
梅本洋一

 池部良が亡くなった。享年92歳とのことで、大往生だ。  とりわけ最近になって、このハンサムな2枚目スターに興味を持っていた。かつて、この俳優が現役の時代──といっても、高倉健の傍らにいつもスッと立っている彼の図像ではなく、テレビを含めて、俳優・池部良が際立っていた、それ以前のことだ──、どうもこの俳優の演技が好きになれなかった。好きになれなかった、という表現は正しくない。この俳優の演技がうまいと...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:27 PM

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